設計者・施工者選定方法
よい建築の実現のためには、最適な設計者の選定が重要です。
質の高い建築設計を行うために最も重要なのは、設計者の能力や経験などの資質です。具体的には、設計者や設計組織(チーム)のもつ創造力や確かな技術力、これまでの経験の蓄積に基づく専門家としての豊かなノウハウが、発注者の要求する性能・品質の建築物を実現するうえで必要です。
・選定方法の種類
種 類 | 評価対象 | 概要 |
①コンペ方式 | 設計者の提示した案 |
発注者から提示された設計条件に対して具体的な設計案を提示 発注者は各案の中から1案を選ぶことにより、設計者を決定 |
②プロポーザル方式 | 設計者の実績等 |
発注者の提案した条件・要望に対しての提案(簡単なスケッチ、 考え方)と類似業務の実績を評価して設計者を決定 |
③競争入札方式 | 設計料 | 入札により設計料の最も安い設計者に決定 |
④随意契約方式 | - |
上記の方法によらず、任意で設計者を決定 透明性が確保されていないため、公共建築では極めて特殊な例 |
・選定方法の特徴
種 類 | メリット | デメリット |
①コンペ方式 |
・具体的な設計案をもとに審査を行うため、 発注者は規格的容易に設計者選定ができる ・選定の透明性や公平性を保つことが出来る |
・選定された案の変更は困難 ・発注者の募集要項、設計条件作成に 期間が必要 ・応募者(設計者)の提案作成に時間 が必要 |
②プロポーザル方式 |
・類似施設の経験豊かな技術力の高い設計者選定 が可能 ・設計案によらず設計者を選定しているため、 発注者の提示した条件や提示案の変更が可能 ・設計者は短期間で提案することが出来る |
・発注者は設計者選定の透明性、 公平性を確保することが大事 また、これらの選定内容を開示して 説明責任を果たす必要がある |
③競争入札方式 |
・発注者にとって安価な価格で設計を発注できる ・短期間での設計発注が可能 |
・ダンピング発注が懸念される ・類似施設の経験に乏しく、技術の ない設計者が選定される恐れがある |
④随意契約方式 | ・短期間で設計者の選定が可能 |
・設計者選定の過程が不明瞭に なりやすい ・公平性が確保しづらい |
・施工者選定方法(選定方法の種類と特徴)
選定方式 | 評価対象 | メリット | デメリット |
①競争入札方式 | 工事価格を評価 |
一般競争入札 ・競争性が高まり経済的な 価格になりやすい
指名競争入札 ・良質な施工者を選定すること で品質を確保し得る ・施工者が次回指名を目標に 品質確保のインセンティブ を与え得る |
・低価格入札では品質が確保 できない ・施工能力の劣る業者や 不誠実な施工者を排除する ことが困難 |
②総合評価方式 |
工事価格+αを評価 (工事価格にプラスして比較したい項目の評価点を設定、加算することによる総合評価値で決定) |
・木造建築の施工実績や地域 密着度等発注者の独自評価点 を加算できる ・ダンピングが無くなり品質 向上につながる |
・指名において恣意的な運用 の恐れ ・一般競争と同様、低価格 入札の恐れ ・入札参加者が限定される と談合を誘発しやすい
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③随意契約 |
工事価格によらず 任意で決定 |
・施工者決定の時間短縮になる ・発注者、施工者の良好な関係 を築く、あるいは維持する 目的で採用されることが多い 将来的なメンテナンスのしや すさに繋がる可能性がある |
・工事価格の適正度が不明瞭(公共建築では採用が少ない) |
④設計・施工 一括発注方式 (デザインビルド) |
プロポーザル方式 又は、プロポーザル提案と価格点の総合評価による |
・設計と施工の一元化により 施工者のノウハウを反映した 合理的な設計が可能 ・設計段階から木材の発注の 準備ができる為、良質な材を 確保しやすくなる。無理な 調達によるコスト増が避け られる ・大規模な木造建築物等、特殊 な工法を検討する場合、施工 者の協力を得て工機、コスト 等、最適な方法を提案できる |
・施工者に偏った設計となり やすく客観性の欠如を招き やすい ・発注者が設計、施工を 「丸投げ」した意識に陥り、 コスト、品質の欠落につな がりやすい |